2019年のアートフェアは入場料5,000円となって始まったが、案外入場者が多かったのは、無料で配った券が多かったせいかも知れない。
骨董商は大店が多かったが、それなりに見ごたえのあるものが多かった。
中でも、前坂晴天堂の鍋島、柿右衛門、青手古久谷、はしっかりした名品そろいであった。
繭山龍泉堂はそこそこの中国ものの展示、祥雲は仏像などの展示、丹中は相変わらず丹波などの壺の展示、などであった。
浦上蒼穹堂 は中国古陶磁の展示と、北斎の版画の展示がユニークで面白い。浦上蒼穹堂 は初代が北斎の有名なコレクターで、美術館もあるため、現在ホットな北斎の展示も可能だったのであろう。
2017年東美アートフェアが10月13日から開催される。
昔は各店、力が入っていたとの評判であったが、最近は・・・?
しかし、中でも光る展示即売もある。
図録まで出した、上原永山堂の酒器である。
まことに、素晴らしい名品ばかりである。
緋襷備前、唐津皮鯨ぐい呑み、黄瀬戸、祥瑞徳利と盃、乾山、などなど。よくも集めたものである。
値段も半端じゃありませんが・・・。
しかし、すでに販売済のものも掲載されているとか。残念。
7月14日のヤフオクに『紅唐桟』の古裂(58.5cmx51.5cm)が出品・落札されていました。
『紅唐桟』は、古裂コレクターあこがれの布です。本物なら・・・。
落札価格は156,100円、古裂の値段としては、妥当な値段でした。
真贋ですが、古裂目利きの見立てでは、本物です。
やはり、良いものは良い値段で落ちるものです。
骨董雑誌Tの8月号に、骨董収集のDさんの特集が組まれているのが、古美術商の間では評判になっている。
『ひどいコレクションだ!』というのがもっぱらで、顰蹙をかっている。
Dさんはいくつも骨董の本を出しており、この世界では『先生』で通っている人だが、ご用心である。
今回は李朝の特集である。
かつて、別冊太陽で『古唐津』と言うムックが出されたが、贋物満載であった。この著者がDさんであった。
今回も贋物と質の悪い本物のコレクションの掲載で、なんとも気持ちの悪いものばかり、というのが目利きの業者の評価である。
案外、骨董評論家には目の利かない人が多い。
もう無くなったK先生はDさんと仲良しであった。
何冊も骨董の本を出したK先生の箱書きがある骨董は安値が付くほどの、目の利かない人であったが、本人はご自分が目が利かないことを自覚されていたので、鑑定をお願いすると、『目利きにみてもらってやる』と言って、ご自分では鑑定されなかった。
ご自分が目が利かないことを自覚しているのは、立派であるが、このような骨董評論家は珍しい。
Dさんは『古陶教室』としょうして、骨董鑑定などを教えているようであるが、何を教えておられるのか、恐ろしい。
うわさでは、今回のT誌の掲載はむりやりねじこまれたとかで、掲載品の売却を狙ったもの、とのことである。
世の中、魑魅魍魎の跋扈する世界である。
骨董は品物の真贋の前に人(骨董商・骨董評論家)の真贋を見極めなければならない。
ご用心、ご用心!
O(2016.7)
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時々、『コレクションを見てほしい』と頼まれることがある。
この様な場合、案外良いコレクションは少ないものである。
中には、数億円を使ったコレクションを見ることもあるが、往々にしてこの様なコレクションは贋物が多い。数億円のほとんど偽物であることも珍しくはない。
メンバー同伴で行くことが多いのだが、お互いに目を合わせ、どうしたものかと目配せをする。
大抵は、『このまま黙って帰ろう』である。とても、真実は告げられない。
このような、贋物コレクターに共通することは、第一に目の利かない骨董屋を信頼して、その店からコレクションのほとんどを購入することが多い。骨董屋も、目が利かなくて金のある良い客であるから、『あなただけに特別価格でお売りいたします』などと、おいしい言葉で釣るのである。
第2に、コレクターが自分の目を信じて、あたかも自分は目利きであると疑いを持たないことである。
他のコレクターや骨董屋が、なかなかはっきりは言えないのだが、怪しい物だとそれとなく言っても、聞く耳を持たないのが、贋物コレクターの性格である。贋物コレクターは頑固な性格が多く、柔軟に他人の言うことを素直には聞けない人が多い。
自分は『目利き』だから、掘り出しが多い、と自慢げである。
第3に、贋物コレクターはケチが多い。もちろん、億の金を使うのであるから、金持ちも多い。しかし、ケチである。
何とか、相場より安く買いたいという、『掘り出し根性』が捨てられない。良いものを、当たり前の値段で買うことに満足出来ないのである。
一流店で一流の値段で買うことに抵抗がある。
第4に、自分の『眼』を鍛えるために、良き師(目利きの骨董商、目利きのコレクター)を持つということがない。自分の目に過度な自信があるために、他人に教えを乞うことが少ない(なじみの骨董商と自分の目しか信じない)。謙虚にいろいろな人の意見に耳を傾けることはしない。
さて、あなたが上記四つの条件に三つ以上あてはまれば、立派な贋物コレクターである可能性が高い。ご用心!
ところで、『眼』は鍛えられるのだろうか?
答えはYESである。
田舎から出てきたポット出のお姉ちゃんが、銀座勤務になると、ダサいファッションが見る見るうちに、あか抜けてくる。
同じように、良い環境さえ手に入れれば、『眼』は利くようになるのである。
では、どのようにしたら良いのか?
? 良き師を見つけることである。どうやって?
骨董倶楽部のサイトで、☆三つ以上の骨董商と付き合うことである。多少は高くても。
? 骨董商とは、三軒以上と付き合うことである。
一軒だけでは、その業者が良いか悪いか分からないことが多い。
? 業界のうわさ話を注意深く聞いて、どの骨董商がどんな分野に強いか確認することである。いかなる骨董商でも、どんな分野にも強い業者はほとんどない。得意分野について、いろいろな人から情報を集めることである。
? 自分の『眼』を信じず、買った品物は、他の目利き業者で鑑定してもらうことである。どの業者も鑑定は無料で喜んでやってもらえるはずである。ただし、贋物と言われても、鑑定した業者の名前は決して言ってはならない。
? 相場を知らずして、手をだすな。
骨董品には相場があり、業者は当然、相場を知って値を付けている。あまりにも安い値段のものは偽物の可能性が高いと言える。
以上のことを実行すれば、高い授業料を払わずとも、良いコレクションを集めることは可能である。
k (2015.3.1)
(なお、最後部に過去の質問と回答を載せておりますが、ご参考まで)
写真は、全体の写真と高台など下面・裏面からのもの、および部分の拡大図をお願いいたします。
ご応募お待ちいたします。
なお、鑑定結果などは、ハンドルネームにて、このコーナーへの掲載をご了解いただきます。
また、写真鑑定のため限界があることをご理解下さい。
今回は『ネットオークション入札事前鑑定』のものです。
お問合せは『オチャズキ』様です。
オチャズキ、「ネット事前鑑定をお願いいたします。あこがれていた『魯山人』の鉢が出ています。菓子鉢に使いたいと思いますが、真贋鑑定と妥当な価格をお教え下さい。」
司会K、「本日は魯山人の備前の鉢です。鑑定お願いいたします。」
ジロマルさんからのお問い合わせです。
「ネットオークションの鑑定をお願いいたします。
粉引の偏壷ですが、ネットで見る限り、なかなか良いように思います。しかし、本物は美術館でした見たことがないので、真贋が分かりません。
入札したいのですが、事前鑑定をお願いいたします。」
司会K、「本日は、『粉引の偏壷』です。なかなか味もついた、良さそうな偏壷ですが、いかがでしょうか?」
鑑定メンバーY,「良い形をしていますね。サイズも『横 約14.9cm 奥行 約12.1cm 高さ 約16.5cm』でお預け徳利にぴったりです。箱も江戸箱でいい感じです。」
鑑定メンバーF,「粉引の肌も、トロトロですね。器形も悪くないです。言うことない李朝の徳利ですが、ちょっと出来過ぎですね。うーん、欠点が見いだせない・・・。」
鑑定メンバーM、「皆さん、ネットは偽物、という目で見てませんか?」
Y、「でもねー、これほどのものは一流店でも見ませんよ!」
F、「確かに!冷静に鑑定してみましょう。」
鑑定メンバーO、「高台はどうですか?」
M、「高台もいい感じですね。時代の擦れも見られて、伝世の味わいです。めったに出ない本歌と見ますが、いかが?」
Y、「そうですね、悪いところが見当たりません。」
K、「では、本物として、妥当な落札価格はいかがでしょうか?」
F,「めったにでないものですが、一流の骨董屋で出たら、1,000万はするでしょう。」
M、「まあ、ネットですから、そこまでは行かないでしょう。」
Y、「半信半疑で入れるのですから、100万行けば良いでしょう。」
O、「ネットオークションですから、案外安いかも知れません。」
K、「結論が出たようです。本日はお集まりいただき、ありがとうございました。」
*注:このオークションは、後に17万円で落札されました。
*斑唐津盃
tousirouさんからのお問い合せです。
『ネットで添付の盃を見つけました。垂涎の斑唐津のぐい飲みが、30万円強にて落札されました。
本物ならずいぶん安いと思います。鑑定よろしくお願いいたします。』
千葉県のハンドルネームtcabbqさんからのお問合せです。
皮鯨彫唐津茶碗
鑑定会議司会 K、「今回は『彫絵唐津茶碗』です。鑑定をお願いいたします。」
F,「当然です。価格は正直です。偽物は偽物価格です。数千万円で売れるものを、数万円で売る人はおりません。」
K,「購入者は価格だけで偽物という説明では、納得がいきません。本歌との違いを説明してください。」
O、「釉薬や模様はなかなか良く似せてありますので、素人は判断が難しいですね。高台に一番偽物の特徴が出ています。こういうだらしない高台の切り方はしません。また、胴に彫られたバッテンも勢いが無く、弱い線です。」